１９日の上海外国為替市場の人民元相場は、対ドルで反発して引けた。中国人民銀行（中央銀行）がこの日の人民元の対ドル基準値を前日の同値よりも元高・ドル安に設定した後を受けた。市場では、当局が人民元の１日の許容変動幅を拡大するとの臆測が流れている。
人民銀行はこの日の基準値を１ドル＝６．２３９５元に設定。これは前日の基準値（６．２４１６元）よりもやや元高・ドル安だが、人民元相場の最高値更新を阻むのに十分な元安水準だった。
人民元は、その日の基準値から上下１％までの変動が許容されている。１７日に付けた史上最高値の６．１７２３元は、１９日の基準値が１７日よりも元安だったため、１９日に記録することは不可能だった。１９日の基準値では、人民元相場の上昇は６．１７７１元までに制限される。
人民元の対ドル相場終値は、前日終値（６．１８１３元）比０．０６％元高・ドル安の１ドル＝６．１７７６元と、この日の許容変動幅の上限に近い水準。出来高は１４０億ドル近くと、比較的多めだった。
ＵＢＳのアナリスト、マニク・ナライン氏とジェフリー・ユー氏（ロンドン）は、２０カ国・地域（Ｇ２０）財務相・中央銀行総裁会議に合わせて、７２時間以内に人民銀行が人民元の許容変動幅を広げる可能性があると述べた。同アナリストらは、人民銀の易綱副総裁が今週ワシントンで、人民元の変動幅が近い将来に拡大される可能性があると発言したことに反応した。
ただトレーダーらは依然懐疑的だ。人民銀がそのような措置を準備しているとの国内への明確なシグナルはこれまで出ていないという。中国語メディアはこれらの発言を大きく扱っておらず、またエコノミストらは、将来の一段の上昇を見込んだホットマネー（投機資金）の流入が持続する兆しがみられるため、現時点では許容変動幅が拡大される可能性は低いとしている。
オフショア市場の人民元直物相場（ＣＮＨ）は直近で６．１７５５元。１年物ノンデリバラブル・フォワード（ＮＤＦ）は６．２４１５元。
人民元の対円相場終値は１００円＝６．２２５４元（前日終値は６．３０２０元）、対ユーロ相場終値は１ユーロ＝８．０７４１元（同８．０６２７元）。
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